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  • 兎澤直樹

気まぐれ社長コラム No.5「テイクよりギブしよう」

*この記事は弊社ドットコネクトの学生アルバイトに配信している「気まぐれ社長コラム」の内容(2024年2月13日)を抜粋して掲載しております。


今日も大事な話をする。


僕の経験上、短期的に「得」なことは、たいてい中長期的には「損」な場合が多い。


これを覚えておくと、何かを決断するときなどに、圧倒的に失敗しづらくなる。


いくつか例を挙げてみたいと思う。


・「誰でも簡単に儲かる」と言われた事業に手を出す

・人をだましてお金をだまし取る

・誰かの役に立ったわけでもないのにお金を受け取る

・裏金を受け取る

・鬱憤を晴らしたくて、家族や店員さんに嫌な言い方をしてイライラをぶつける

・SNSで注目を集めたくて、アルバイト先や飲食店等の場で悪ふざけをする

・営業ノルマが足りてないからと、受注できそうなお客さんに傘増しして請求する(ビッグモーターの事例が典型)

・参入障壁が低く、流行りのビジネスに乗っかる


こんな感じのものはたいていの場合、長続きしない。

人としても信用を失いやすい。

特に今はSNS時代だから悪事は明るみに出やすい。暴かれやすいのだ。


他にも、

・面倒くさいからと、自分を磨く努力を怠る

・細部にこだわることを怠り、準備不足で仕事のプレゼンに臨む

・照れくさくて「ありがとう」を言わなかったり、プライドが邪魔して「ごめんなさい」を言わない

・脂っこいものや甘いものばかり食べる

・時間がないからとファストフードやコンビニ弁当ばかり食べる

・自分の話を聞いてほしいからと、自分ばかり喋る

・自分ファーストばかりで、相手の気持ちを察することを怠る(対恋人とかね)


逆もしかりである。

短期的に「損」なことは、たいてい中長期的には「得」な場合が多いのだ。


・面倒だけど、使ったものはすぐに元の場所に片づけるようにする

・お金と時間を投資して本を読む

・ラクな仕事ではないし大変だけど、自分を鍛えられる環境を選ぶ

・健康に良い習慣を身につける

・時間に余裕をもって目的地に向かう

・困ってる人には手を差し伸べる

・疲れていても、電車でお年寄りや妊婦さんやけが人に席を譲る


人生というのは、長い目で見れば必ず帳尻が合うようになっている。

良くも悪くも、自分がやってきたことの報いは必ず自分が受け取るようになっているのだ。


悪いことをしていては、一時はカネが入っても、長続きはしない。

お金は確かに大事だ。でも、カネの奴隷にはならないでほしい。社会に出ると、そういう人は意外と多い。


それに何より弊害なのは、悪いことをした、あるいは怠けたことを自分の心は自覚している訳で、そのことで次のチャレンジの場でいざというときに、そんな自分自身を信じられなくなることだ。最悪なのは、それを積み重ねていくことで、そういう生き方が染みつきすぎて、自分ではもう気づけなくなり、そんな生き方しかできない人間になってしまうことだ。


目立たなくてもコツコツとやっている人は強い。長く周りの人と信頼関係を築いて、後々のチャンスに恵まれやすい。


これは言い換えれば、あえて先に損を取ることで、後で得が巡ってきやすいということだ。自分が報酬を受け取るのを遅らせるだけで、信用を積み重ねやすいということでもある。実はこれを続けていると、得だけでなく、人間としての「徳」も磨かれると思っている。


損して得(徳)取れ、である。


何かを受け取るにしても、受け取るタイミングによって信用を失うか、積むことができるかが変わるのだ。


僕の仕事の流儀は、自分がテイクするより先に、テイクする以上のギブを相手にすること。

これが逆になったとき、僕はプロとして恥ずべきだと思っている。


いちいち良い行いをするのに、見返りを求めなくていい。

見返りがない場合もあるが、そのことで腹を立てる必要はない。

ただし、こういうことを当たり前に積み重ねられる人には、お金やその他の報酬は後からついてくるから安心してほしい。


「サービスが先、利益は後」

これは僕が尊敬する経営者の一人、小倉昌男さん(ヤマト運輸の創業者)の言葉だ。


僕はこの法則を自分なりにではあるが、ずっと意識して仕事してきた。前職でも、起業してからもずっとだ。


新卒で入社したての頃はギブできるものが少ないから、せめて量とスピードと気配りで、少しでも相手の期待を良い意味で裏切ることを常に意識していた。ひとつひとつ細部までこだわって必死にやった。そのおかげで、先輩たちからどんどん仕事を任せてもらえるようになり、良い経験を積むことができたのだ。


要は、そうやって積み重ねてきたものがあったから、先に受け取ろうとしなくても(お金にがめつかなくても)、起業して初月から自然と黒字だったし、創業以来、無理はせずとも(むしろ家族との時間を増やしている)増収増益を続けてこれている。


人生をうまく生きるというのは、なんでもかんでも効率とか要領が良いかどうかということだけではない。効率や自分の得ばかり考えている生き方は案外薄っぺらく、人間としての厚みは出にくいと僕は思う。


そういう本質を捉えて、周りからの信用、自分の経験と周りの役に立てる能力の向上を確かに実現させていく。そういう地に足をつけた生き方をしていってほしいし、僕ももっとそこを頑張りたいと思っている。


僕の人生の目標の一つは、自分が受け取るものより、周りに与えることができたものの方が多い状態で生涯を終えることだ。


「借り勘定<貸し勘定」の状態で死にたいということだ。


君たちはまだ学生だから、「借り勘定>貸し勘定」の状態で問題ない。


これから社会に出て、自分をますます鍛えて、「借り勘定<貸し勘定」にしていけばいい。


そしてこれから君たちは、人生を決する大事な場面に数多く遭遇すると思う。

就職、転職、投資、勉強、起業、結婚、出産、子育てなどが典型例だ。細かいものも含めればもっとたくさんある。


そんなときの判断軸のひとつとして、今日の話は頭の片隅に入れておいてくれると、変な人に騙されたり、自分を甘やかしすぎて後で取り返しがつかない状況に置かれて絶望したり、周りからの信用を失ったりすることもないだろう。


P.S.

この話に関連して、最後に僕の座右の銘のもう一つを紹介しよう。

「魅(み)は与(よ)によって生じ、求(ぐ)によって滅す」


要するに、人の魅力は、与えるものが多ければ多いほど増え、求めようとすれば反対に減ってしまうという意味の言葉だ。

この言葉は、多くの経営者層から人生哲学・リーダー学の師として敬愛されている無能唱元(むのうしょうげん)という禅師の言葉である。

この人の本は、なんと1冊1万円を超える。が、うちにもあるしとても読みやすいので興味があれば読んでみてほしい。

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